業務改善の効果とは
業務改善とは業務に関わる全ての人、物、コスト、情報を変更することである。その目的は業務を効率化することと捉えられがちであるが、業務の効率化だけでは留まらない。
業務改善をすればなんとなく会社が良くなりそうと考えるが、具体的な業務改善の効果は一体何なのか。
ここでは業務改善について、その手法に触れる前にその概念や効果について考えていく。
業務改善と経費削減の違い
業務改善は経費削減と比較するとその効果は数倍、数十倍に及ぶ。業務改善は創業間もない企業が次のステップに進む時や、大企業に改革をもたらす時など会社そのものを変える時に役立つ。
では、下位の概念である経費削減と比較すると、一体何が異なるのだろうか。
手法・やり方 | 効果 | 難易度 | |
経費削減 | 他社の手法・知識を100%そのまま流用できる。 例えば電気代の経費削減方法として、パソコンのモニターの輝度を落とす、省電力モードを使う、契約アンペアを変更するなど、 知っていれば100%実現可能でかつ成功する。 水光熱費、家賃、電話代など主な経費削減対象項目は50程度存在する。 |
費用の5~10%を削減可能。 | 知っていれば100%成功し、難易度は低い。 |
業務改善 | 対象は会社の全ての業務であり、物であり、人であり、情報である。 業務改善は主にQCD(時間、品質、コスト)の3つに着目することから品質改善、プロセス改善、業務効率化などとも言われる。 問題を定義することから始め、問題の整理、解決策の立案、実行、モニタリングと実現までの工程は長い。 会社毎に課題が異なることから解決策も異なる。 |
コスト削減効果が無限大であるばかりでなく、会社の体質そのものを変える力を持つ。 | 対象が広く、問題も各社固有であるため、難易度は高い。 |
なぜ業務改善の効果は無限なのか
業務改善の効果に無限の可能性があるには理由がある。 例えば経費削減施策によって、パソコンの電気代を10%下げた場合、その効果は10%にしかならない。それ以上でもそれ以下でもない。
しかし、業務改善のもたらす結果は様々な波及効果がある。
例えばプロセスを改善した場合、そのプロセスに関わるコストが下がる。
それはこれまでベテランしかできないと言われていた仕事が、学生のアルバイトでもできるようになることかもしれない。
また、簡素化することで時間が削減できた結果、有能な社員が他の業務をすることができ生産性が上がったり、残業代が削減できるかもしれない。
また、品質が向上した結果、不良品率の減少により、平均コストが下がったり、クレームに取られる時間が削減できるかもしれない。
1つの業務改善の結果、様々な波及効果をもたらすのである。
業務改善の切り口はQ(品質)、C(コスト)、D(時間、効率化)
業務改善を行う場合、その切り口はQ(品質)、C(コスト)、D(時間、効率化)である。それは一つを向上させることで他のものを犠牲にするのではなく、 一つを向上させることで全てを向上させることである。
短期的に見れば品質を上げることはコストを増やしたり、時間がかかると考えがちだが、 一つ一つのプロセスを紐解いて、全体で考えれば、品質を上げることがコストの減少、時間の効率化を もたらすことが分かるはずである。
業務改善でできること事例
ある上場会社において四半期決算業務に常に45日かかっていた。金融商品取引法の期限である45日ギリギリに終わるため、上場の停止にヒヤヒヤするだけでなく、 直接コストとして監査法人への費用も膨大となり、間接コストとして経理部の残業代や人件費、他の業務が遅延するなど、なんとかしなくてはと考えていた。
最初にやったのは経理部の人数増加。
それまでの8人体制から約2倍の15名体制に。
最初の四半期は新たに入った7名は業務に不慣れな為、それまでと同じ45日も仕方ないと考えていたが、次の四半期もその次の四半期も変わる様子はない。
そして、最後の四半期で45日ルールを守れず遅延し、監理銘柄となってしまった。
この会社は一体何がいけなかったのだろう。
正しい業務改善をすれば結果を予測するだけでなく、こういったミスはほとんど回避することができる。
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