必ず失敗する業務改善

営業主導で業務改善しても失敗する

営業主導で業務改善を始めない
営業担当者やマスコミ、知り合いなどに提案され業務改善を始めることがある。
ハッキリと言えることはそのような業務改善は必ず失敗する、ということだ。
ではなぜ失敗するのだろうか。
ここでは他者が提案する業務改善がなぜ失敗するか、どうすれば良いのかについて考えていく。

必ず失敗する業務改善の例

営業主導で始まる

他社の営業担当は本当に親身にあなたの相談にのってくれる。
上層部の人間は日々の悩み・プレッシャーが強いため、熱心な営業についつい愚痴をこぼしてしまう。
親身に相談にのってくれる営業担当は非常に頼もしいスーパーマンに見えてしまうのである。
その結果、する必要のないプロジェクトが始まる。
もちろん、営業担当は決して自社の商品という解決策以外は持っていない。

流行りもの

過去には分社化、会計システム、営業支援システムの導入、アウトソース活用、最近はクラウド等いかにも問題を解決してくれそうな内容が雑誌の紙面を賑わす。
まるでその仕組みを導入しないと時代に取り残され、会社がダメになってしまうかの様な口ぶりである。
しかしほとんどの場合、それらの解決策は会社の問題を解決してくれない。
メディアに踊らされて導入した商品、サービスはないだろうか。それらは本当にあなたの会社の役に立っているだろうか。

知り合いの紹介

自社の成功経験から、やたらとその商品を薦めてくることがある。
もちろん、善意の第3者ではあるが、そもそもあなたの会社と知り合いの会社は抱えている問題、環境が異なる。
異なる環境でその商品が効果を発揮できるとは限らない。

問題点
営業主導

知り合いの紹介
世の中にある複数の解決策から、自社の商品で解決しようとする。
解決策ありきで物事を発想する為、 それがベストとは限らないし、そもそもやる必要があるかどうかの吟味もされてなかったり、問題の本質がずれている場合がある。
流行りモノ 経済誌や新聞、メディアを通じていかにも必要であるかのように振る舞う。
しかし、市場が未成熟なため、何が正解、何が成功なのかすら不明なことが多い。

なぜやることが前提ではダメなのか。業務改善失敗事例

アウトソースやシェアードサービスがもてはやされた頃、会社はコア業務(本業)以外はアウトソースすべきだ、 人材・費用をコア業務に専念すべきだと経済誌を始め各マスコミは声を大にしていた。

周りがどんどんアウトソースする中、毎日のように訪問してくる給与計算アウトソース会社の営業担当者の熱心さに押され、ついつい話を聞いてしまった。
もちろん、最初は導入する意思はなかったが、営業担当者の「給与計算の間違いがなくなり、品質があがる」、「給与担当者の業務が減ってコストを削減できる」、「導入実績が100社以上あるので安心です」と言う言葉につられ、何か効果が有りそうだと考え、見積もりを依頼してみた。

上司に相談したところ、「営業担当者の甘言で意思決定するとは何事だ、数字を持って来い」と一括され、 営業担当者に相談し、数字付きの資料を持ってきてもらった。
  • 給与アウトソース代金(10万円) << 御社の給与担当者の人件費(30万円)でコスト削減効果66%
  • 計算間違い率0.1%以下。間違っても即刻修正対応
  • 申請書提出から支払までたったの5日
  • 専任の担当者が疑問、質問にもすぐに対応(※1人で3~5社を担当)
一見すると良さそうな資料だが、よく考えると全く業務改善効果、コスト削減効果がないことが分かる。
このような営業担当者の甘言に騙されないためにも少し考えてほしい。
正解は以下。

業務改善効果がない理由

では、答え合わせだ。
業務改善を知らなくても簡単に答えが出せたかもしれない。
  • 給与計算をアウトソースするにあたり、会社の問題定義や課題抽出が入っていない。その為、上流工程である申請書類や会社の賃金規定、下流工程である経理データに問題がある場合でもそのまま放置され部分最適化にしかならない。
  • 給与担当者の1ヶ月分の給与と比較している。給与担当者は1ヶ月まるまる給与計算業務をしている訳ではない。 申請書提出から支払いまで5日で10万円なら、自社の担当者をそのまま雇った方が安い。
  • 一人あたり3~5社を担当しているなら、自社で雇った方が業務がスムーズ。
    また、質問や疑問などは導入当初は多いものの、慣れればどんどん減っていくためほとんど手間がかからない業務である。
  • そもそも疑問や質問はどのような経路で連絡が行くのか、また、給与計算という正しい答えがある世界において、疑問質問が起こること自体おかしい。
  • 計算間違い0.1%は1000人いれば1人間違えることである。給与計算の常識からするとあまりにもひどい数字である。
  • ・・・
まだまだ不備はたくさんある。
こういった甘言に飛びついて効果のない業務改善を始めないでほしい。

問題を正しく定義できるまで業務改善すべきではない

重要なことは真の問題が何かわからないうちに業務改善をしてはならない、ということである。
問題が変われば答えは変わる。誰にでもわかることである。
業務改善も同じで会社が異なれば問題は異なり、問題が異なれば解決方法も異なる。
何か既存の方法を当てはめればそれでうまくいくようなら、世の中の業務改善プロジェクトは成功事例ばかりである。


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