業務改善はスローガンでなく仕組みを作る

業務改善はスローガンでは成功しない

業務改善はスローガンでは成功しない
「3月度月間目標 不良品率5%」
業務改善を始めるにあたって、このようなスローガンを壁やドアに掲げる会社は多い。

考えて欲しい。
このようなスローガンを掲げて本気で成功できると、あなたは思うだろうか。

誤解を恐れず言うと、スローガンで業務改善、経費削減などほとんどの物事は成功しない。
ではなぜ成功しないのか、いくつかの事例を紹介しながらその論拠を示していくとともに、
どうすれば成功するのか、ベストな方法について検討していく。

本当にスローガンだと成功しないのか?

いくつかのスローガンの例を紹介していく。成功するかどうか検討して欲しい。

交通安全標語の例

日本人にとってスローガンと言えば交通安全標語を思い出す人が多いだろう。
「一瞬の その油断が 事故のもと」(※想作)
この標語を見てどう思うだろう。これで交通事故が減る、うまくいくと考えるだろうか。

会社の売上UPスローガン

業務改善のスローガンにより近い会社の売上の例を取り上げる。
多くの会社では今も「今月売上5%アップ!」と書いて壁に貼り、それで目標を達成しようとする。
もしあなたが営業の場合、このスローガンを見てあなたはどのような行動を取るだろうか。

スローガンの本来の役割は「きっかけ」、「心構え」である

スローガンでは成功しない
そもそもスローガンはその役割上「きっかけ」という性質を持つ。
言い方を変えるとその効果は「瞬間的」であり、「気付き」を与えることにとどまる。
それは始めて見た時は非常に効果的であり、行動を促すきっかけになるが、2度3度と見るうちに効果は薄れていく。

その効果が薄れるとまた次の新しいスローガンを書いて社員を鼓舞しようとするが、表現は変われど本質は同じため、 人を動かす動機になりづらくなる。

そして、スローガンの最大の弱点はきっかけの後の行動が人それぞれ異なることである。
罰則やインセンティブも同様である。 これらも動機付けになるものの、その行動は人それぞれ異なる。

スローガンによってもたらされる結果は偶発的

業務改善のスローガンを掲げた場合も同様で、人はそれぞれ異なる行動を起こす。
ある人は時間を短縮しようとシステム導入を主張するかもしれないし、 ある人は備品をより安いものに変えようとするかもしれない。

スローガンに対する受け取り方、行動は人に依って異なるため、結果も当然異なる。
例えば、売上アップ5%のスローガンに対して、ある人はこれまで行ったことのない新規開拓に力を入れようとするかもしれないし、 ある人は土日を削って営業しようとするかもしれない。
やる気のない社員やスローガンに飽きた多くの社員はほとんど見向きもせず、行動も起こさないだろう。

それはあたなが望んだ結果だろうか。偶然でもいいからうまいって欲しいと願っているのだろうか。

スローガン 本来求めるもの
  • 効果は瞬間的
  • 行動は任意、人に依存
  • 結果は偶発的
  • 効果は永続的
  • 行動はルール、皆同じ
  • 結果は計画的、予測可能

業務改善をするなら、ルール、仕組みを作ることが重要

ではどうするのか。答えは簡単である。
業務改善をするルール、仕組みを作れば良い。
会社のルール、プロセス通りに仕事をしていれば、それが業務効率アップ、コスト削減、品質改善になる仕組みを作ることだ。
その効果は一時的でなく永続的だし、ルールであるから全員が同じ行動を取る。
その行動からもたらされる結果は計画、期待通りである。
では、ルールを変える、仕組みを変えるとはどういうことか、上記の例で再度検証してみる。

交通安全の場合

ルール・仕組み 期待効果
例1 道路を広く見通しを良くする 見通しが良い為、周りの人や車が見え接触事故が減る。
例2 対人対物衝突システム搭載の義務化 人の運転技術に依存せず、事故を防止できる。
例3 シートベルトを着用しないと動かない車 シートベルト着用義務違反がなくなる。


会社の売上の場合

営業は経営の中でも最も科学的である。
営業支援システム(SFA)の発達により、社内には様々なデータが 蓄積されている。
そのデータを活かし新たな営業ルール、仕組み、マニュアルが整備されている。

ルール・仕組み 期待効果
例1 セールストークのマニュアルを変更 マニュアルによって成約率は異なる。
マニュアルをより売れるマニュアルに変更することで成約率は上がる。
例2 訪問件数の増加 一日の訪問件数が3件なら、4件にする。
それだけで期待効果は1.33倍である。
物理歴に無理なら訪問先を近場に変更する。
例3 訪問先の選定 成約率が高い訪問先、低い訪問先の傾向はある。
成約率が低い訪問先なら最初から行かないことで時間のロスを防げる。

業務改善の成功はルール・仕組みを作ること

会社の業務改善をする場合も全く同じである。
スローガンではなく、ルールや仕組みを作り、期待通りの結果を得るようにすることだ。
ルール、仕組みが整備された業務改善は一時的でもなければ、偶発によってもたらされる副産物でもない。
それは論理に裏付けられた予想通りの結果となる。


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