業務改善をプロのコンサルタントに任せる

業務改善をプロのコンサルタントに任せる?

業務改善をプロのコンサルタントに任せる
業務改善を個人でやることが難しい場合、プロのコンサルタントに依頼することを検討するかもしれない。
しかし、安易にプロのコンサルタントに依頼しても絶対に成果はでない。
そして、社内の人間が一人でやる場合であっても、 外部のコンサルタントを雇わないデメリットを理解し克服しないと業務改善は成功しにくい。

ここではプロの経営コンサルタントについて、特徴や依頼するメリット、プロのコンサルタントの選び方、 また、依頼しないことを前提に、社内のメンバーだけでやる場合のデメリットの克服方法などについて解説していく。

業務改善と経営コンサルタントの種類

日本において経営コンサルタントという職業(※名ばかりのコンサルタントを除く)は、 大きく戦略系、総合系、IT系、その他と4つに別れる。
そして、業務改善を実施する場合、その改善内容や業務領域、進捗に応じて委託するコンサルタントは異なる。

経営コンサルタントの得意分野
戦略系 問題定義 :○
解決策立案:○
解決策実装:×
問題の所在が全く検討がつかない場合であっても、真の課題を発見し、適切な解決策を導く能力に長けている。
総合系 問題定義 :△
解決策立案:○
解決策実装:△
問題の所在は依頼主がある程度把握しており、また、解決方法もおぼろげながら見えている場合に、 計画からリリースまでの全てを統括してやりきるマネジメント能力に長けている。
IT・ソリューション特化系 問題定義 :×
解決策立案:△
解決策実装:○
問題の所在が明確で、解決方法もわかっている(決めている)場合に、その解決内容を提供する。
業界・業務内容特化系 問題定義 :△
解決策立案:○
解決策実装:○
業界・業務特有の問題、課題について他社事例を多く有し、問題定義から解決策の実装までの全てまたは一部をやり切る。


業務改善の進捗度合いとサービス範囲
問題定義 解決策立案 解決策実装
不明 ある程度 不明 ある程度
戦略系
総合系
it・特化系
業界特化系

プロの経営コンサルタントに任せっきりにしない

プロの経営コンサルタントに得意分野があるのなら、そのまま任せれば良いと考えるかもしれないが、 多くのプロジェクトで失敗する理由の一つが、コンサルタントに任せっきりにしてしまうことにある。

社内の人間は通常業務を抱えているため時間が取りづらいこともあり、コンサルタントに任せてしまいがちだが、 得意分野であっても社内の人間と比較すると明らかに劣る部分が存在する。

コンサルタントの得意・不得意
メリット デメリット
社内メンバー ・業務のかゆい所、細かい所、ポイントを知っている
・理想論、絵に書いた餅でなく、社内の実情にあった実行可能性のあるプランに落とすことができる
・100点の業務改善ができても、社内の人を動かせるか不明(影響力が低い)
・長くいると何が悪いのかわからない
コンサルタント ・外部から見て、明らかにおかしい部分を客観的に把握できる
・外部の人間のため、物怖じせずおかしい箇所を指摘できる
・改善プランが理想論、絵に書いた餅となる場合がある
・PDCAを回せず一発勝負になることが多く、100点の改善内容にはならない


その為、コンサルタントを雇う場合も雇わない場合もこれらのデメリットを補うように行動しなければならない。

もし雇うなら技は必ず盗め

プロのコンサルタントを雇った場合、ドキュメント、交渉、調整、意思決定などありとあらゆることが新しい発見になる。
もし社内に成長させたい人間、将来の幹部候補がいる場合、必ずその人を何らかの形でメンバーとして参加させるべきである。
コンサルタントと一緒に業務改善を進める経験はMBAを取得したり、本を何百冊読むよりも学ぶことが多い。

但し、リーダーではなく、メンバーとして参加させることが重要である。
リーダーでは実務にかかる時間が多く、コンサルタントのやり方を学習できる機会は少ない。

専任の社内メンバーが必ず必要

業務改善には社内メンバーが必要
多くのプロジェクトで、コンサルタントに任せっきりにして失敗している事例は多い。
数年前、ある企業において、戦略コンサル、総合コンサル、ITベンダーなど複数のコンサルティング会社で進める業務改善プロジェクトがあった。

当初は戦略コンサルが問題定義と解決策のグランドデザインを描き、プロジェクトは順調に進んでいるかに見えたのだが、 2年後にプロジェクトが終わってみるとできた業務、システムは全く使い物にならないものであった。

失敗の理由は複数あるのだが、最大の要因はグランドデザインができた後、誰もが終わった=この通りに進めて、この通りに業務を改善してくれればいいからと、社内の人間が興味を無くしてしまったことにあった。
その結果、業務改善を目指したグランドデザインはプロジェクトが進むに連れて忘れ去られ、 業務改善とはかけ離れたベンダーに都合の良い勝手な解釈の新業務プロセス、システムへと変化していた。

戦略コンサルが抜けた後、全てを理解し、コントロールする人が存在すればこのような事態は防げたであろう。
それは外部の人間でなく、出来上がった後運用していき、失敗すれば社内で非難を浴び続ける重責を背負った社内の人間にしかできない。
この事例は規模が数十億という大きなプロジェクトであったため、もともと失敗する確率は高かったのだが、 小さなプロジェクトであってもコンサルティング会社に主導権を渡してしまうと本来の改善や実行可能性よりもコンサルタントの思い込みや作りやすさへ傾いてしまうため、注意が必要である。

社内メンバーのみで実施する場合はデメリットを打ち消すこと

社内メンバーのみで業務改善を実施する場合は、上記2つのデメリットをしっかりと打ち消すことが重要になる。

社内の人を動かす

業務改善プランを納得させたり、プランそのものの実行、運用させることを含む。
このデメリットを打ち消す最も簡単な方法は社内で一番の権力者である社長を説得、動かすことである。
社長が業務改善プランに納得し、動いてくれたなら、業務改善プランの内容がどうであれ必ず実行される。
実行されればあとはPDCAを回して改善していけば良い。

何が悪いのかわからない

多くの人は悪い、非効率だとは知りながら、慣れてしまったり、放置している。
これはほとんどの会社で業務改善のヒヤリングをすると必ず〇〇はおかしい、○○はダメだ、という意見が数えきれないほど多く出されることからも明らかである。

全ての人が問題意識を持って仕事をしているわけではないが、社内のキーマンは問題意識を高く持っているし、 転職者、新入社員などは外部との比較が可能なため、ヒヤリングすればかなり多くの問題点を抽出できる。


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