品質管理で業務改善

品質は管理しなければならない

品質は管理しなければならない
コスト削減と聞くと最初に品質を下げる、という発想が出る。
しかし、業務改善という視点で考える場合、品質は上げること、下げることの両方から検討する必要がある。
ある場面では品質を上げることにこだわるべきであるし、ある場面では下げることにこだわるべきである。
そして、本来は緻密に計算された結果に基づいた品質であるべきだ。
ここでは業務改善と品質について、解説していく。

品質を上げて業務改善

業務が流れ作業的に進み、上流工程の作業が下流工程の作業に影響を与える場合、業務の始点に近い作業は品質を上げる必要がある。

よくある誤りは全ての作業を完全にしようと均等に力を配分しミスを単純に減らそうとすることである。
時間、予算は有限であることから対策をする場合はより上流工程のミス対策を優先すべきである。

ここでは、家の建設を例に取りながら、なぜ最初ほど品質を上げる必要があるのかについて、解説していく。
例として土壌に問題があったにも関わらず、問題の発覚が遅れた場合を取り上げる。

土壌調査後、欠陥が見つかった場合(2段目)

土壌調査後で欠陥が見つかった場合、土地代を除けば、損失は100万円で済む。 土地代と調査費用を失ったのは痛いが、何も知らずに建設を進めて被害を拡大することと比べれば 損害は最小限で済んだと喜べる。

骨組み作成後

骨組みを作成後に欠陥が見つかった場合、上記にプラスして骨組みの作成にかかった費用1,000万円を追加で失う。 また、骨組み作成にかかった日数も無駄になる。

完成間近、完成後

完成後に欠陥が見つかった場合、損失合計は2,200万円である。
よくメディア等で、なぜこんな場所に家を立てたのか、床がだんだん傾いてきた、などと欠陥住宅が紹介されるが、 最初の土壌調査をもっと入念にやっておけば被害は最小限に抑えることができたはずである。

有限なリソースを賢く使う

予算や時間は有限である。
その為、業務改善やコスト削減をする場合、リソースを賢く必要な箇所に正しく振り分けることが重要である。

上流工程は高品質

流れ作業や複数の工程を踏む作業においては、上流工程ほど品質保証費用、調査費用、レビュー費用を多く配分し、品質確保に努めるべきである。
上流工程での誤りや欠陥をもった製品はその後の全ての作業が完璧にできても何も意味がないからである。
これは業務改善においてリソースが有限である限り必ず押さえておくべきポイントである。

多くの人に影響を与えるものは高品質

マニュアルなど多くの人が読んだり、利用するものは、そのマニュアルが分かりづらければ、多くの人の業務が止まる。
お客様用のマニュアルであれば、問い合わせが来ることもある。

このような多くの人が利用するものも、徹底的に品質を上げる。
大企業では、コールセンターに多額の経費をかけ、問い合わせに迅速に対応しようとする場合があるが、 マニュアルの品質を上げて問い合わせを減らすよう、努力すべきである。
更に言えば機器そのもののユーザビリティを向上させ問い合わせを減らすべきである。

品質を下げて業務改善

業務改善というと品質を下げることをイメージすることの方が多い。
しかし、全ての品質を下げることが業務改善ではない。
業務改善を考える場合、重要でない場合は品質を下げても良い。
もっと厳密に言うと、役割と対価が見あっていない場合だ。

発生コストを業務改善効果を正しく計算する

特にシステムの導入に多く見られる失敗事例である。
例えば、外出先から稟議書の確認や閲覧、書き込みができる仕組み。
一見、ものすごく便利に見えるが、本当に必要だろうか。
この手の仕組みを導入する場合、「無駄な移動時間中に雑用を済ませ、帰社時間を減らし営業力アップ!」
などというキャッチフレーズに踊らされ、購入する場合が多い。

しかし、考えてほしい。
本当に対価に見合っているのかを。

仮に社員数が300人で、毎月の稟議書が50枚。
稟議書1枚の平均作成時間が10分とすると、
1ヶ月8.2時間(500分=50枚×10分)の削減効果しかない。
代替案として、メールでやり取りする場合はタダである。
稟議書は後から書けば良い。
もっと言うと、そもそも急ぎの案件以外、外出先から稟議書を記入するだろうか。
営業が社内に戻る頻度はどの程度だろう。
それらを緻密に計算し検討すると、この社員数では不要であることが分かる。
実際にある企業では経費精算システム(業務範囲は経費採算のみ)のユーザー一人当たりのライセンスが8,000円、という商品があった。
使っていたのは月に1度、たった260円の交通費申請であった。
発生費用に見合った業務改善効果はあるのかを正しく計算しなければならない。


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