業務改善の基礎 業務分解
業務改善をしたいが何が問題か分からない、何を改善すれば良いか分からない、あるいは何から初めて良いかわからない場合、一度改善の対象となる業務を全て作業単位に分解してみることをオススメする。
何をして良いか分からない理由はもしかすると一つ一つの業務、作業が積み重なって分かりづらくなっているだけかもしれない。 ここではなぜ業務分解が業務改善に効果的なのか、業務分解のやり方とコツについて紹介していく。
問題は作業のどこかに隠れている
仕事のほとんどは作業の積み重ねによって成り立つ。会議を開催する場合、準備資料の作成や会議通知、招集対象者やファシリテーターや議事録係などの役割決め、 さらに会議室を押さえたり、資料をコピーしたり配布したり、・・・
それら全ての作業が一つ一つ確実に実施されることによって初めて会議が開催される。
業務改善の対象となる業務も作業単位に分解すれば一つ一つの作業は簡単な作業の積み重ねであることが分かる。
業務分解をすることで以下のような矛盾点を発見することができる
- 目的と作業のズレ
- 高度なスキルやミスをしないことが前提の作業
- 重複作業、漏れ作業
- 非効率的作業
居酒屋での料理配布遅延
居酒屋で、稀に誤発注や料理が出てくるのが遅い場合がある。この料理が出てこないことに対して、上司は「もっと注意しろ」とか、「どんまい、次からミスしないように頑張ろう」という叱責をする かもしれないが、それは学生・根性論の世界であり、サラリーマンであればなぜ誤発注が起こるかを考え、ミスが起きない仕組みを作らなければならない。
ミスが起こる原因は作業のどこかに隠れており、それを見つけ改善することができれば業務改善は成功する。
修正前の料理の注文プロセス
- ホールはお客様から注文を取る
- ホールは厨房に声でオーダーを伝える
- ホールは厨房にオーダー表を渡す
- 厨房はオーダーができたら、カウンターに料理を置く
- 厨房は料理ができたことをホールに知らせる
「料理がカウンターに置きっぱなしになっている」だと判明すれば、業務改善は終わったも同然である。
思いつく簡単な改善案だが、
改善例1). 5番の工程の前に「何分程度で料理できる」と厨房はホールに伝えるようにする
改善例2). 料理のお皿に担当者の色の付箋付け、誰の置き忘れかを明確にし、気づいたら周りが声をかけるようにする
改善例3). カウンターに料理を置いてから2分経過すると、アラームがなるようにし、その場合は担当テーブル以外の人でも料理を運ぶようにする
などなど。
ホールの不注意、あるいは、オーダーマニュアルといった大きなくくりではわからなかった料理配布遅延の原因が、 業務を分解し、ミスの原因を特定することで誰でも簡単に解決策を立案できる。
天才集団を前提とした作業にするならミスしないことを前提とする作業で問題ないが、
コスト削減や業務改善をするなら、誰がやっても同じ結果がでる、ミスがあることを前提としたプロセスにすべきである。
時間と期間を明確にし作業の効率化、時間短縮
ある業務の作業毎の時間や期間に注目して業務を分解し改善する方法がある。特に締め切りのある作業や、理由は不明だが長い時間が掛かる業務など、作業のどこかに何かしらの原因がある。
この原因を見つけ作業時間、業務期間を短縮するにも、業務を一つ一つ分解し、どの作業に何時間がかかっているのか、正しく作業時間を計測することで、改善することができる。
最近の例だと、スターバックスコーヒーが業務分解と時間計測による業務改善で作業時間を大幅に短縮した。
ものの配置、作業手順を見直した結果、作業時間が10%減り、待ち時間が減り顧客満足度の向上に寄与した。
正しく時間を測り、小さな作業単位の短縮の結果、大幅な業務の効率化をした良い事例である。
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