業務改善 アイデアの検証・確認

業務改善 アイデアの検証・確認

業務改善 アイデアの検証・確認
業務改善を始めるきっかけは様々である。
「上司からやるよう指示を受けた」、「今期の個人目標とした」、「会社を発展させたい」、「非効率なのでなんとかしたい」など。

これら理由を聞いて反対する人はあまりいない。
しかし、いくら正当な理由があろうとも、それらの理由で業務改善を進める前にまずはしておくべきことがある。
ここでは業務改善でアイデアの検証・確認について解説していきます。

実施確認、必要性調査、目的設定

実施確認の順序
業務改善で最初にすべきことは実施確認である。
(※業務改善の全体像については業務改善の進め方をご参照下さい。)
詳細には実施確認、必要性調査、目的設定の工程が含まれるが、明確な順序は特にない。

実施確認、必要性調査、目的設定は相互に依存するため、一つが変化すればその他も変化をする。
必要性を調査した結果、業務改善の必要性がないと判断したら、もう一度実施確認を行い、
実施確認をした結果、部長は当初想定していた目的とは別の目的を設定するかもしれない。

業務改善の最初の工程
分類 工程 概要
実施確認 1 実施確認 まずは本当に始めて良いのか、何を始めるのかをしっかりと確認する。
2 実施必要性調査 実施確認をしたとは言え、ミスは付き物。
実施の論拠が事実かチェックする。
3 目的設定 すべき理由や方向性を掲げる。
何をしたいのかをなるべく具体的に定義しておく。

以下、実施確認、必要性調査、目的設定の各工程について内容、方法、注意事項などについて解説していく。

実施確認

業務改善をする場合、実施して良いかを必ず上司やその他利害関係者全員に確認しなければならない。
当然だと思われるかもしれないが、業務改善の範囲がどんなに狭くても、確認作業が必要である。
実施する人の言い分としては、「せっかくいいことをしようと思っているのにわざわざ確認するのは面倒だな」と感じるかもしれないが、
実施して良いかを上司や利害関係者に確認せずに実施するとあなた自身、または、会社が痛い目に合う。

目指すは全体最適化 それを一人で判断できるだろうか?

業務改善が目指すべき姿は常に全体最適化である。
一部の業務を改善し、そこだけは結果が出たとしても全体でマイナスになると会社にとっては損失である。
そして、悲しい現実だがほとんどの社員は会社の業務全体を理解していない。
その為、良かれと思ってやった業務改善が実は利己的であることは珍しくない。
また、会社は実は大きな業務改善をやろうとしているかもしれない。
その構想の中ではあなたがやろうとしている業務改善は埋没し徒労に終わるかもしれない。

その業務があなただけで終わる業務だとしても…

業務改善の範囲が一人で終わる場合でも、実施確認は必要である。
理由は
  • その案が本当に正しいとは限らない
  • 業務がブラックボックス化してしまう
  • 上司が業務を把握できない
これらは上司に相談・報告することで回避することができる。
報告を受けた上司は適切な判断をし、次のアクションにつなげることができる。

ある会社で経営管理資料を作成するスタッフがいた。
彼女はプログラミングが得意だったため、資料の作成をプログラミング化した。
結果、経営管理資料の作成速度は飛躍的に向上したが、彼女が退職したのち、 経営管理資料の内容が変更されたが社内で対応できる人間がおらず、また元の手作りに戻った。

このような例は非常に多いが、上司に実施確認、報告、相談をしていればこのような事態は防げたかもしれない。
報告を受けた上司は引き継ぎ資料の作成を命じるかもしれないし、経営管理資料はよく仕様が変わるからやることが無駄だと実施を中止させるかもしれないし、経営層に資料の作成スピードがあがることを報告し、他部署や経営層の仕事の進め方が変わるかもしれない。

つまり、作業そのものは一人で終わるものだが、その影響は一人では判断できないことの方が多い。
その為、業務改善を行うことは必ず利害関係者、少なくとも上司には報告・確認しておかなければならない。

実施必要性調査

上記でも一部事例を紹介したが、実施必要性調査は必須である。
やる必要の無いものは改善をやらないことは当然だが、それ以外にも以下のようなことを考慮しなければならない。

実施必要性調査の切り口
本当かどうか その問題は本当に業務の問題なのか。実務担当者の能力やその他の問題かもしれない。
やるべきかどうか 定量的に分かるものは定量的に比較し、できないものは定性的に取り組むべき課題かどうか判断する。
実施優先順位はどうか 問題ではあるが、今は不要あるいは様子を見る時期かもしれない。
やるべき方向性や範囲 改善の範囲や方向性は最初からある程度目星をつけておかないと前に進むことができない。
できるかどうか 社内の資質、制約、人的負荷を含めできるかどうかを判断しなければならない。

実施判断するのに、定量的に測れることは稀

実施必要性を判断するのに、最も良いのは改善前と改善後でどれほど効果があるかを数値を用いて比較できることだ。
例えばある業務にかかっていた作業時間が全体で200時間だったが、改善後に100時間になる。
それが100万円ででき、10年はそのまま利用できると言えばほぼ全ての人(経営者なら全員かもしれない)が賛成するだろう。

しかし、それは解決策ありきであり、解決策が決まってない状況、厳密には実際に運用していない状況では不可能である。

ではどうするか。
それは経営者や管理職の嗅覚が大事になる。
少しオカルトチックになってしまうが、経営者や管理職は会社を発展、利潤を得ようと日々青写真を描き、どうすれば良いかを考えている。
その為、理想の会社=経営理念の実現に向け日々模索しているため、そのような問題に対して適切な判断を下せることが多い。

ただし、内容によっては適切な判断を下せない場合もある。
そのような場合は箇条書きで良いので課題とそれをどのようにしたいかを列挙することだ。
それを元に次の工程である真の課題を定義したり、仮の解決策をおいてメリットを比較し実施判断できるようになる。

目的設定

何のためにやるかは必須である。
業務改善はプロジェクトが進んでいくと必ず目標やゴールは変化していく。
目的は何のために、目標はどういう方法で、何を達成することでと言い換えれる。
もちろん、このタイミングで目標設定をしておくことも重要であるが、背景や目的設定を忘れてはならない。

例えば、経営層が売上未達の状況を憂い、以下のような目的を掲げたとする。
「月次売上目標必達の為、正確な進捗を適宜把握し、指揮命令できるようにする」

この目的の手段として、「月次管理会計を10日早める」という目標を定めたとする。
業務改善のプロジェクトが進むうちに、目標はさらに以下のように変化してく。
  • ○○システムを導入する
  • 優秀なマネージャーを投入する
  • 業務プロセスを変更する
このように、目標が遷移して行ったとしても目的が明確であればいつでもそれに照らし合わせ、 それが正解かを判断することができる。
この場合、営業支援システムの導入や日々の進捗確認など様々な解決策が候補に上がるはずである。
最初から目標のみにフォーカスすると本当の目的を見失う場合がある。


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