企業規模が小さいほど業務改善は成功しやすい

なぜ小企業では業務改善が成功するのか

大企業と中小企業で異なる業務改善
零細企業においては業務改善はあまり難しくない。
資金・人員の制約、および解決策の正誤はあるものの、手がけるほとんどの業務改善はやり方さえ間違えなければ成功する。
究極の零細企業である個人事業主なら業務改善は100%成功すると言っても過言ではないだろう。

では、なぜ成功するのか。
零細企業において業務改善が成功する理由は、社長がほとんど全ての業務を知っており、かつ、やりたいように容易に変更できるからである。

社長は業務の内容、担当者、業務の流れ、業務の影響範囲を全てを知っており、 かつ、それら業務を社長の権限により簡単に変更することができる。

零細企業の成功事例から学ぶべき業務改善のポイントのうち、業務をやりたいように変更するポイントについては別途述べることとして、ここでは業務全体を知ることの重要性について解説していく。

企業規模が大きくなると業務が見えなくなる

上記の内容を言い換えると、企業規模が大きくなるほど業務改善の成功確率は低くなるということである。
理由は非常に簡単で、企業規模が大きくなると業務全体を知る人が不在になってしまうためである。
では、なぜ業務全体を知る人が不在になってしまうのだろうか。

見える化では見えない

多くの企業では業務の見える化を実施する。
しかし、多くの企業で実施する見える化は業務改善ではほとんど意味をなさない。
管理会計の結果や勤怠の結果を見て、そこから発見できる課題は売上が思ったほど上がっていない、費用が予算より高い、 時間が多くかかっている、という内容である。
会議でこれらの話がでるとほぼ理由や原因について追求されるものの、次月から注意するように、というなんの成果も期待できない業務指示で終わる。

また、業務効率が悪い状態が継続している場合、その状態が普通になってしまうため、見える化では問題として発見されることすらない。

管理職は自部署の成績のみに固執する

本来、業務全体を把握すべき管理職は、自らの部署という縦割り集団の管理に埋没する。
その結果、業務全体、組織全体が見えなくなってしまう。
また、管理職に対する評価手法もほとんどは自部署の成績に重きを置くため、他に対する影響は全く考慮されないことが多い。

そのため、自部署にとって都合の良いやり方、自部署にとってできるやり方が当然となってしまう。
それは結果として他部署にとってはわかりづらい成果物、インプットになってしまっているかどうかは考慮されない。

ある中小企業の業務改善成功例

ある中小企業の業務改善成功例
ある中規模企業において、業務改善を目的として、営業、エンジニア、運用業務の3組織からそれぞれ1人を集め、 隣同士で作業を実施した。
その結果、営業は如何にエンジニアが必要とする内容について商談や契約段階で話していなかったかを知り、 エンジニアは運用のために何も考慮していないことがわかった。
その企業では、毎週のように営業、エンジニア、運用の3チームによるリーダー会議が開かれていたにも関わらず、 そのような改善や提案は一切出て来なかったのに。
それは隣で何をやっているかを実際に見て、作業を実施しながら直接言う苦情を通じて、 今いる3者が最も幸福になるにはどうすれば良いかを考えながら案を出し改善した結果であった。

全体を理解する

業務の全体が分かれば業務改善は上手くいきやすい。
それは、業務フローの作成や業務の棚卸し、あるいは、一人の人間が実際に全ての業務を経験したり、皆で机を寄せ合うことかもしれない。
業務全体を知る手法は様々だが、全体を知る人間がいないと業務改善は成功しにくい。


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