問題意識を持つことが業務改善の第一歩
業務改善には問題を定義することと問題に対する解決法を用意することの2種類のアイデアが必要である。ここではそのうちの問題定義に関わるアイデアについて考えていく。
業務改善のアイデアは問題意識を持つことから生まれる。
アイデアとは奇人や天才の所業ではなく、単純に「こんなものがあればいいな」、「ここが使いにくいな」 という個人の感覚から生まれる。
それは言い換えると理想と現実のギャップだ。
ここでは、業務改善のアイデアを捻出する方法、基本となる考え方について解説していく。
業務改善のアイデアの源泉 7つの視点
業務改善のアイデアとなる問題意識とは一体なんだろうか。それは不便だと感じることであったり、もっとこうしたいという欲望であったり、 あるいはなぜこんなことをやっているのだろうという疑問だったりする。
- そもそも意味があるのか問う
- 大きな視点で捉える
- 他と比較する
- 利害関係者の声を拾う
- ミス・失敗に対処する
- 自ら経験する
- 先に目標を決める
そもそも意味があるのかと問う
古くから慣習でやっていることや良かれと思ってやっていることは本当にその目的を達成できているだろうか。例えば小さなことだが朝の朝礼。
新入社員が最も意味がないと思う業務の第一位が朝礼である。
また、朝礼と似たような内容では会議。
どの会社であれ、必ずといっていいほど意味のない会議が乱立している。
あなたの会社の朝礼や会議は大丈夫だろうか。本当に目的を達成できているだろうか。そもそも目的があるだろうか。
業務を洗い出し、おのおのの業務に対して意味があるのか、目的は何かを洗い出して見ると良い。
大きな視点で捉える
最も多くの人がやる業務改善の誤りが部分最適化である。部分最適化の多くはその業務の担当者が言う不満をそのまま、あるいは直感的に解決しようとすることから生まれる。
言い換えると考えることを止めた安易な解決方法である。
部分最適化は全体でみれば重複作業であったり、無駄な作業であるにも関わらず、その業務に固執し全体が見えないため、そこだけで改善しようと努力する。
例えば前例で挙げた給与計算。
給与計算の効率化を目的にシステム化や入力の簡便化を行う。
もっと大きな視点で考えれば、計算の元となる賃金規定を簡素化すれば計算はもっと簡単になるかもしれないし、 勤怠の承認や有給申請の仕組みを見直せばもっとスムーズに締め切りが守られるかもしれない。
そういった業務改善に必要な大きな視点を考慮せず、部分最適化をしてもほとんど大きな効果を得ることはできない。
大きな視点で業務を捉えるには、他部署を跨いだ業務全体の流れやリソース管理、abc分析、業務の周期といった最低限の経営の基本視点が必要になる。
他と比較する
業務改善において、他と比較することは大きく2つの方法がある。1つは良い物と比較することだ。
それは他部署であったり、他社であったりする。
財務諸表の数字を見て、なぜこんなに安くて高品質の製品を作れるのかと考えたり、 なぜこんな人数で業務を回せるのかと比較し、自社の欠点を明らかにする。
もちろん、同業他社や類似業務であればより真剣に考えることができる。
もう1つは例外と比較する。
これは結果がどうであれ、人とは異なる結果を出す人を研究することだ。
よくよく調査するとその行動には隠された理由があることが多く業務改善の手がかりを提供してくれる。
利害関係者に聞く
顧客や担当者は常に不満を持っている。しかし、声に出して不満を言う人は少ない。
こうなればいいのに、もっとこうして欲しいという意見は業務改善を考えるきっかけ、アイデアの宝庫である。
ただし、不満はそのままではほとんど使うことはできない。
なぜその不満がでるのか、背景や原因、目的を考えることが大事である。
それらを整理するうちに、業務改善のアイデアや自社に求められる役割が分かることが多い。
ミス・失敗
ミスや失敗は最も簡単な業務改善のきっかけである。そして、悲しいことにほとんどの企業では、ミスや失敗をしても「次から失敗しないように」と、口頭で注意するのが関の山だ。
どこまで問題を掘り下げるかは難しい問題であるが、次にミスしないようどうすべきかを考え仕組みを作ることは 企業もしくは会社員としては必須の行動である。
自ら経験する
自ら経験することは上記で挙げた多くのことを簡単かつ具体的に経験することができる。不便だな、非効率だな、なんでこんな意味のないことをやっているのだろうと。
より具体的に分かることで問題を整理しやすくなる。
先に目標を決める
難易度は高いが、先に目標を決めて業務改善を始める、というやり方がある。それは既存のやり方が正しかろうが、最適であろうが、関係ない。
例えば、経理の四半期決算の日数が45日かかっていた場合に、30日以内にするという目標を立てそれを実現する方法を探したり、 あるいは不良品率が0.1%である現状から0.01%以下にするような場合である。
この業務改善で一番犯しやすい過ちは既存の良い部分と問題点を無視することが多いことである。
一から業務を作った場合、そのまっさらな業務は机上の空論であり、実稼働後に問題点が山積する。
特に外部の会社が導入する新しい業務プロセスはほとんどあなたの会社の実情を反映させない欠陥品であることが多い。
結果、やらなかったほうが良かったという失敗プロジェクトが増える。
反面、正しいやり方で成功させれば、最も大きな改善効果を望める。
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