業務改善をプロジェクトで始めることの罠
企業では何か物事を始める時に、プロジェクトで始めることが多い。システム導入、内部統制、BPRなどなど。
業務改善もご多分に漏れずほとんどの会社がプロジェクトとして始める。
だが、待ってほしい。
本当にプロジェクトとして始めるべきなのだろうか。
やることが前提のプロジェクトなどない
大企業ほど多くのプロジェクトを始め、そして失敗している。ある調査によると企業のプロジェクト成功率は実に40%未満だそうだ。
始めるプロジェクトの実に半分以上が失敗し、費用の無駄遣いをしている。
その原因の一つに、「プロジェクトをやることが前提になっている」という悪習がある。
この罠はどの企業もハマり、そして何度も何度も同じ過ちを犯す。
ではなぜやることが前提になってしまうのだろうか。
後戻りしにくい状況が作られる
そもそもやるべきかやらないべきかの見積もりの甘さが挙げられる。業務改善をやるべきかやらないべきかの判断は新商品投入時のマーケット分析と同じように熱心に調査され、裏打ちされたデータに基づいて判断されるべきである。
その結果、費用以上の効果が見込めるのであれば実施すべきであるし、費用以上の効果がないのであればやるべきではない。
つまり、業務改善の最初の工程はこの実施有無を正確に見極めるという作業から始まる。
業務改善はやるかやらないかを見極めてから始める
興味 | → | → | 意思決定 | → | プロジェクト開始 | |||
興味 | → | 見極め(小さいほどよい) | → | 意思決定 | → | プロジェクト開始 |
業務改善の実施有無は正確性が重要である。
また、企画開発などと違い、市場投入を焦る必要はない。時間をかけてじっくり調査するのだ。
そして、やらない場合のリスクを最小限にする為、調査は小さければ小さいほど良い。
調査の結果、やる必要がなければ、最小限の損失で済むからだ。
もしやる必要があれば、正確な期待値を元にいくらまで予算をつぎ込むかを決める。
100万円の業務改善の為に、5,000万円の予算のプロジェクトは本末転倒だ。
業務改善はリスクを最小限にする為、プロジェクトではなく、まずは小さく個人で始めるのが良い。
どうしてもできない場合はプロのコンサルタントに依頼する
とは言え、社内人員のリソース・資質等が不足している場合、業務改善を始めるべきかどうかの見極めさえつけれない場合がある。そのような時はプロのコンサルタントに依頼することを考えても良いが、いくつかの非常に重要な注意点がある。
コンサルタントには得意分野がある
当然であるが、様々なコンサルタント会社があり、それぞれに得意分野がある。できれば自社の業種、業界、課題に対して多くの実績があるコンサルタントを選ぶようにすべきである。
売上や仕入れなど業界に固有の問題に関わる業務改善に取り組む場合は業界特化型のコンサルタントを選ぶようにし、 バックオフィス業務のようや業界に拘らない課題に取り組む場合は課題領域に特化したコンサルタントを選ぶようにし、 問題定義ができない場合には問題定義が得意なコンサルタントを選ぶようにしたい。
会社でなく人で決める
会社のブランド名や肩書きなどでコンサルタントを発注してはならない。理由はブランド名や肩書きではコンサルタントの能力と単純に一致しないためである。
そして、ハズレのコンサルタントを引くと、業務改善をする前から失敗することが決まる。
特に多くの会社が失敗する事例は会社の実績=その人の実績とみなしてしまうことである。
必ず職務経歴書やその業務に関する簡単な質問、相談、提案資料を実務をやる人間から直接回答、提出してもらうようにすべきである。
間違っても〇〇大卒、〇〇会社、MBA保有などと言った実務とは関係ない肩書きを指標としてはならない。
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